勉強を始めたきっかけ
気象の勉強を始めたのは、大学に入学する1年ほど前からでした。ただし当時は気象予報士試験を特に意識することもなく、純粋に気象に興味があったため参考書を読んでいました。試験を意識し始めたのは大学入学の少し前で、その頃から試験合格に向け本格的に勉強し始めました。結果として、1年生の8月の試験で学科試験の一般・専門科目に合格し、その次の1月の試験で実技試験に合格できました。
勉強時間について
最初は資格を意識せずに勉強していたものの、大学入学のころからは資格取得を目標に勉強に取り組み始めました。大学では空きコマ(授業のない時間帯)を活用し、時には夜まで、主に図書館で勉強していました。特に実技試験の1ヶ月前は1日に3~4時間ほど、1週間前には 1日に8時間ほど勉強しました。資格を意識せず勉強していた時期に参考書を読み込んだことで基礎を固めることができた結果、比較的スムーズに合格できたと感じています。
学科一般試験の対策
学科一般試験の対策として重要なことは、基礎を固めることです。基本的には参考書の内容を完璧に覚えることを目標に取り組むと良いと思います。また勉強中に生じた疑問を解消することは大切ですが、過度な知識の深掘りはかえって合格まで遠回りになってしまうことがあります。そのため過去問を解くことで、合格に必要な知識の量やレベルを把握するということも大切です。
過去問を解いていると参考書には一切書かれていないような少々意地悪な問題に必ず出会うと思います。このような問題については正直対策の立てようがないのですが、出会う度にその問題に関連する知識を調べるなど一応の対策はしました。また、Twitter(現X)で学科試験の問題を1日1題ずつ載せているアカウントがあり、毎日解くことで継続的な学習ができました。
法規については参考書には載ってない場合が多いため対策が大変ですが、15問中4問を占めるため絶対に落としたくない内容です。インターネットで「気象予報士試験 法規 対策」など調べると、内容をまとめてあるサイトがヒットしますので、それらをもとに対策すると良いと思います。
学科専門試験の対策
学科専門試験の対策も基本的に学科一般試験と同じです。ただし、専門試験の参考書選びや過去問には少し注意が必要です。その理由は、専門科目は情報のアップデートが非常に早く過去問が役に立たないことがあるためです。例えば2023年にGSMの水平解像度が20kmから13kmに変わりましたが、過去問で「GSMの水平解像度は20kmである」という記述があった場合、出題時点では正しい内容でも、現在では誤った内容となってしまいます。このような古い情報には注意する必要があります。
しかしそうは言っても何が正しい内容で何が誤った内容なのか判断がつかないと思います。そこで大切なことは最新の情報を収集し、確認することです。具体的には「気象庁報道発表」と検索し参考書の発売以後の内容を確認することや、日ごろから気象関連のニュースに関心を持つことなどが考えられます。しかし最も簡単に情報収集するには予報士試験の対策講座に参加し、先生や講師の方から情報提供していただくことだと思います。そのため、そういった講座には積極的に参加することをお勧めします。
実技試験の対策
実技試験は学科試験に合格しないと採点されないため、学科をある程度勉強し理解できるようになってから実技試験の勉強に手をつけるのが一般的です。
また実技試験には特有の癖があり、どんなに気象の知識に秀でている方でも試験対策をしなくては苦戦してしまいます。例えば「不安定」ではなく「対流不安定」と書く必要がある場合や、「暖湿気の流入」ではなく「下層暖湿気の流入」と書く必要がある場合など、問われている内容によっては解答内容を厳密に採点されることもあるため、注意が必要です。これらを見分けるには出題者の意図を汲み取ることが大切で、「下層暖湿気」に着目する問題の次に「標高に着目してこの地点の天気はどうなるか」という問いがあれば、「地形効果による降水の強化」という解答を求めているのかな、と推理することも実技試験合格のために大切です。こういう推理をすることを「問題と会話する」と表現する方もいらっしゃいますが、これができるようになれば合格がかなり近いと思います。
さらに実技試験は時間との戦いです。私は、最初は時間を意識せずに過去問を解いていたため30分~1時間以上も時間制限を超えてしまっていました。しかし沢山過去問を解くことで徐々に早く解けるようになりました。
使用した参考書など
参考書は学科一般・専門科目、実技すべて「イラスト図解 よくわかる気象学」シリーズ(ナツメ社)を使用しました。またインターネット上の気象予報士対策サイトやYouTube上の試験対策動画も活用しました(個人が運営しているサイトは間違いを含む場合もあります)。また毎日2回発行される気象庁の短期予報解説資料は、気象庁の予報官が予報を出した根拠を書いており、実技試験対策にお勧めです。
さいごに
気象予報士の取得によって気象アルバイトの応募資格を得たり、就活はもちろん様々な場面で会話のネタになったりと、気象予報士は自分の可能性を広げてくれる資格だと思っています。簡単には取得できない資格のため、内容が難しく躓いてしまうこともあると思います。しかし、内容がいまいち理解できなくても、そういうものだと思って先に進むことも時には大切です。前述のとおり、勉強中に生じた疑問を解消することも大切ですが、過度な知識の深掘りはかえって合格まで遠回りになってしまうことがあります。後々知識が増えたことで、過去には理解できなかった内容が理解できるようになるといった経験も私自身沢山ありました。そのため、合格できる日が来るまで諦めずに勉強を続けてほしいです。