超水滴法プロジェクト始まる

科研費基盤研究(A)「超水滴法で迫る雲降水システムの粒子レベルからの理解」(研究代表者:島伸一郎准教授)のキックオフ会議が、2023年12月26~27日に兵庫県立大学・神戸情報キャンパスで開かれました。

雲は微粒子の集合体ですが、数値シミュレーションで1個1個の雲粒を取り扱うのは、たとえスーパーコンピューターを使ってもメモリー不足のため不可能です。そこで通常の気象シミュレーションでは、経験式などを使って雲粒の挙動を表現しています(これをパラメタリゼーションと呼んでいます)。ただし、この方法では雲粒の物理過程を表現することができません。

超水滴法とは、ある空間に存在する複数の雲粒を1つの「超水滴」で代表させ、その挙動を物理法則にしたがって解くことにより、雲の物理過程を表現するものです。この手法は従来の手法よりも正確に雲に関する物理過程を計算できるので、世界的に注目されています。このプロジェクトは、超水滴法の開発者である島伸一郎准教授を中心に、さまざまな降水現象について超水滴法でシミュレーションを行い、その物理過程を解明しようとするものです。

災害気象学研究室は、筑波山や東京での観測データを解析し、超水滴法シミュレーションの検証と高度化に貢献する予定です。

兵庫県立大学・神戸情報キャンパスは、スーパーコンピューター富岳のある理化学研究所・計算科学研究センターに隣接しています。スーパーコンピューターを用いた大学院教育の部分を兵庫県立大学が担っているとのことです。