防災科学技術研究所の方々に講演していただきました
5月29日の地球科学調査研究法1では、防災科学技術研究所の前坂剛上席研究員および清水慎吾主任研究員に、Zoomで講演していただきました。
前坂研究員からは、「最先端の気象レーダー」というタイトルで、反射強度のみを測定する「在来型レーダー」、反射強度と風速を測る「ドップラーレーダー」、偏波を利用して降水強度を正確に測る「MPレーダー」、高速スキャン型の「MPフェーズドアレイレーダ―」、雲を観測できる「雲レーダ―」について、各種の気象レーダーの特性を、図表やYoutube動画を用いて分かりやすく説明していただきました。特にMPフェーズドアレイレーダ―は「レーダー業界のロイヤルストレートフラッシュ」とも言うべき優れたレーダーで、動画で紹介していただいたスーパーセルの内部構造は、まさに最先端の気象レーダーによって初めて観測できる内容で、興味深いものでした。
清水研究員からは「線状降水帯の観測・予測研究と逃げ遅れゼロの実現をめざす実証実験」というタイトルで、線状降水帯の予測技術の最先端のみならず、「情報の伝え方」の難しさについても講演していただきました。線状降水帯を数値モデルで予報する場合「降水ピークの位置がずれてしまう問題」が生じるのですが、その問題を「位置ずれを許容する降水積算法」で解決するなど、創意工夫にあふれた内容でした。また災害対応にあたる市町村の規模によって、予測の空振りを許容できる場合とできない場合があるなど、予測する側と情報を受ける側との密接な連携が必要であることをお話しいただきました。
学生からも活発な質問が出て、充実した講演会になりました。