【研究成果】気象予報モデルにおける雲の再現性を改善

・近年の気象予報モデルでは、雲粒の大きさや数濃度を計算することができるようになってきました。

・その一方で、雲粒や凝結核の観測が不足しているため、気象予報モデルにおける雲粒の発生について、データに基づかない入力値がしばしば用いられてきました。

・本研究では、東京スカイツリーで観測された雲粒粒径分布や雲凝結核の特性を気象庁非静力学モデルに組み込み、東京周辺で発生する降水事例のシミュレーションを行いました。

・その結果、雲粒数濃度の過大評価やレーダ反射因子の過少評価が改善されました。のみならず降水量にも影響を与え、予報スコアを改善しました。

・シミュレーションの事例数が限られているため、この成果が直ちに降水量の予報精度を改善するものではありませんが、気象の数値シミュレーションにおいては雲粒観測に基づく現実的な入力値を用いるべきことを示しています。

論文情報

掲載誌:Atmospheric and Oceanic Science Letters
著者:Ryohei Misumi, Akihiro Hashimoto
タイトル:Impacts of observation-based cloud droplet size distributions on the simulation of warm stratiform precipitation using a double-moment microphysics scheme
DOI:https://doi.org/10.1016/j.aosl.2024.100572.