受験のきっかけ

私が気象予報士試験を受けたのは、わりと最近のことです(令和3年度第2回試験)。大学教員になるにあたって、気象予報士を目指す学生さんをサポートできればと考え、そのためには自分がまず気象予報士の資格をとる必要があったためです。

私は長年、国家公務員や国立研究開発法人の職員として勤務していたため、それまで気象予報士の資格をとる必要性がなく、これが初めての受験でした。受験を決意したのは令和3年10月頃で、試験までの準備期間は約4か月です。

「大学教員であれば、気象予報士試験など楽勝だろう」と思う人もいるかも知れませんが、とんでもないことです。気象予報士試験には独特の「癖」があり、学術的な知識だけではとても歯が立ちません。実際、有名な東大教授が気象予報士試験に落ちたという噂を聞いたことがあります。合格率5%の数字は伊達ではなく、しっかりと準備しないと難しい試験です。

過去問をやってみた

試験勉強を始めるにあたって、まず過去問をやってみました。その結果は惨憺たるものでした。

・学科試験(予報業務に関する一般知識):9~10点くらい
・学科試験(予報業務に関する専門知識):7~9点くらい
・実技試験:30~40%くらい

気象学の専門知識が通用するのは学科試験の中の一般知識だけ、それも法規を除いた前半部分だけで、あとは全く歯が立ちませんでした。「このままでは落ちる」「恥ずかしい」「もし落ちたら、学生さんにバレないように次は仙台で受験しよう」「もっと若い時に受けておけば良かった」などという思いが頭の中で去来しました。

得点アップのための作戦

うじうじ考えていても仕方がないので、得点アップのための作戦を考えました。

学科試験(一般)苦手だった法規を中心に勉強
学科試験(専門)過去問を数多く解く。間違えた問題について気象庁ホームページなどを確認
実技試験満点を取る必要はない。「できる問題」と「できない問題」を素早く見極め、「できる問題」を慎重に解くようにする。
過去問を繰り返し解く。出題者である気象庁職員?の独特な言い回しを覚える

特に実技試験はポイントを押さえることが大事で、

・300hPa面での強風軸解析
・500hPa面のトラフ・リッジの検出
・上層トラフと地上低気圧のカップリング
・850hPa面での相当温位の解析
・暖気移流と寒気移流(順転と逆転)
・ショワルター安定指数
・シアーライン解析
・予報用語

を中心に確認していきました。ウイークデイは本職の方が忙しかったため、試験勉強に充てたのは毎週日曜の8時間と、年末・年始の6日間でした。正味の勉強時間は約200時間・・・とても準備万端とは言えない状態で試験当日を迎えました。

試験当日

試験のスケジュールは以下の通りです。朝の9時40分から夕方の16時10分までの長丁場で、スタミナがもつかどうかが心配でした。チョコレートなどを持参して、スタミナ切れに備えました。

試験日令和4年1月30日
試験時間一般知識9時40分~10時40分
専門知識11時10分~12時10分
実技試験13時10分~16時10分
試験会場タイム24ビル

試験の手ごたえですが、以下の通りです。

試験感想自己採点
学科一般問1ができず焦る。全体に計算問題が多く、慎重に見直した13
学科専門比較的素直な問題が多かった12
実技1開始早々の「ビリビリ」音(他の受験者が問題用紙を切り離す音)に驚く。ひねった問題が多く、大苦戦。 途中で時間が足りなくなる。55
実技2通常レベルの問題。最後まであきらめず頑張る。65

実技1が非常に難しく、正直「もうダメ」と思いました。暗い気持ちで家路につきました。

合格通知が送られてきた

99%落ちたと思いましたが、実技試験の合格ラインが下がったこともあり、合格通知が送られてきました。心の底からほっとしました。仏壇に合格通知書を供えて、何度も感謝したものです。

以上、全く参考にならないかも知れませんが、合格体験記です。皆さんも頑張って!